血糖については貴田先生の「GI値とは」のページを参考にしてくださいね。
それでは何をお話するかというと、インスリンの働きと運動による
血糖コントロールについて考えてみましょう。
血液中の糖が増えると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌される。
そしてその結果、血糖は全身の細胞に取り込まれ利用される。
その「全身の細胞」の中でも最も多くの血糖を必要とするのはどこでしょうか?
それは「骨格筋」いわゆる筋肉と呼ばれている部分。
ここに全身の約80%もの糖が取り込まれます。
通常、食事をして血糖値が上がり膵臓から分泌されたインスリンは
筋細胞表面にある受容体と結びつき、筋細胞内に存在するGLUT4
(グルコーストランスポーター)を細胞表面などへと移動させます。
これが「インスリン依存的な糖の取り込み」です。
これに対して、「インスリン非依存的な糖の取り込み」は運動(筋収縮)が
GLUT4(グルコーストランスポーター)に作用し糖の取り込みを亢進させます。
この運動によるインスリン非依存的な糖の取り込みは運動終了後の約2~3時間続き
さらに筋では運動で失われた筋グリコーゲンの回復を行うため、
インスリン感受性の高い状態が続きます。
この現象は、例えば糖尿病患者におけるインスリン抵抗性(効果を出しづらい状態)
に対して運動が有効な大きな理由となります。
また、運動を毎日繰り返して行う事により、GLUT4の量も増えるため
筋の血糖取り込み能力が向上します。
それでは、どの程度の運動をすればこのGLUT4の反応が起きるのでしょうか。
効果的なのは「無酸素性作業閾値(乳酸閾値・LT)」程度の運動と言われています。
これはだいたい、息がはずみ始める程度の運動(最大酸素摂取量の50~70%)となります。
この運動強度では、運動を長時間継続することができるためエネルギーの消費も大きくなります。
また、短時間でも最大酸素摂取量を越えるような高強度の運動を行うとGLUT4の発現量は
さらに多くなるとのデータもあります。
運動は血糖コントロールに対し、とても有効な刺激になります。
過剰な糖質摂取を控え、適切な運動を行う事により
健康になりましょう!
(専門学校講師 山本章人)