こんにちは 専門学校講師・パーソナルトレーナーの山本章人です。 スポーツ系・医療系専門学校で運動生理学や解剖学、スポーツ科学についての講義を行っています。 研究者ではなく、教員という観点で 分かりやすく使いやすい知識をコラムで書いていければ良いなと思っています。

前回は、体を動かす際に使うエネルギーである『ATP』についての話でした。 今回は、それを作り出す仕組みについて少しお話しましょう。 人の体の中でエネルギーを作り出す(再合成)仕組みはザクッと分けて3つ。

 

1、ATP-Pcr系   重量挙げや陸上競技の投擲・ゴルフのドライバーショット等のような 一回で大きな力を発揮する運動や陸上競技の100m走やアメリカンフットボールのランニングプレー等の様に 10秒前後で終わるような短時間で非常に強度の高い運動の際に主として利用されます。 これは【ホスファゲン系】とも呼ばれます。 【Pcr~クレアチンリン酸】を使います。

2、解糖系   陸上競技の400mや競泳100m・スピードスケートの500m等のように1分程度「限界までハアハアゼイゼイするのを我慢して行う」くらいの強度が続く運動は、【解糖系】のエネルギー産生が主となります。 この際は、糖の分解による代謝産物としての【乳酸】が産生されます。 しかし【乳酸】は、旧来言われてきたような疲労物質ではなく酸素が十分に供給される 状況であればエネルギー基質として利用されることがわかっています。

   ここまでの仕組みでは酸素がない状況でもエネルギーを作り出すことができます

3、有酸素系   陸上競技でいえば長距離走、または私たちが日常生活中に行っている活動はこのエネルギー産生を主とすることが考えられます。 ポイントは酸素が十分に供給されること。   言い換えれば「あまりハアハアゼイゼイしない」運動という事になります。 この状態であれば糖を分解してエネルギーを産生しても【ピルビン酸】になり さらなる科学反応で多くのエネルギーを作り出すことができます。   産生された【乳酸】も酸化され再びエネルギーとして利用されます。また、【脂肪】からのエネルギー産生もこのしくみで行われます。

以前は 「運動を始めて最初の7秒はATP-Pcr系、次の33秒が解糖系、その後有酸素系という順番にエネルギーが産生される。 」というのが一般的でしたが、現在では運動強度によって、主となるエネルギー供給系が変わるというのが 一般的になっています。

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